月夜の天使
高月詩苑 (タカツキ シオン)

「高月詩苑くんだ。高月くん、挨拶を」

一瞬教室中の時が止まったようだった。

彼はゆっくりと顔を上げ、前を見据える。

何かを秘めた瞳、その瞳にかけられたメガネは彼の憂いを強調する。

透き通った肌、フワリと顔にかかる茶色の髪、通った鼻筋、何か物憂げな印象を与える口元。

「美少年フォー・・・」

清香が絶句した。

「高月詩苑です。両親がアメリカに移住したので、3歳からアメリカに暮らしていました。日本の生活はまだ慣れなくて大変ですが、みなさん宜しくお願いします」

すごい、頭良さそう・・・。

秀才の雰囲気。

加奈は季節はずれの転校生に思わず見とれていた。



< 102 / 201 >

この作品をシェア

pagetop