月夜の天使
放課後になると、詩苑の周りには女子の行列ができていた。

「高月くん、アメリカのどこに住んでたの!?」

「日本のわからないこと何でも教えるよ!」

「すごいねー、みんな。短い期間で彼をゲットしようと必死だよ・・・」

清香があきれ顔で女子を見る。

「まぁ、かっこいいもんね。見た目もさることながら、帰国子女だし」

加奈も詩苑の周りの人だかりを見つめてつぶやく。

「加奈は、余裕よね~!なんたって須藤くんがいるもん。須藤くんはもう先約済だから、須藤くんに匹敵する美少年にみんな必死なんだよ」

「清香、そんなことないってば・・」

「加奈!」

「ほら、噂をすれば美少年の彼氏よ!」

清香が教室の戸口を指して私をこづいてきた。

「十夜、今日は早いね」

「ああ、久世が早く来いってうるさいんだ。部室まで一緒に行こう」

「うん」

十夜が女子の人だかりに目を留める。

「何だ?あの人だかり」

「ああ、今日転校生がきたの。美形だから女子の人気の的よ」

「・・・転校生、ね」

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