月夜の天使
「あ、須藤くん!それここに運んで!」
清香が十夜に指示をだす。

「オーケー。あれ?加奈は一緒じゃないの?」
十夜が部室の中を見回す。

「うん、音楽室の掃除だったけど、私は一足先に抜け出してきたの。加奈、そういえば遅いなぁ。詩苑くんと二人きりで告白されちゃってたりして!」

十夜の顔が一瞬強張る。

「あ、冗談よ、冗談!そんなわけないじゃん!」

「加奈が誰と一緒にいるって?」

「高月詩苑くんよ。最近転校してきた・・・」

「あいつ、シオンって言うのか・・・?」
「うん、そうだけど」

バン!!
十夜が部室を飛び出す。

「須藤くん、どうしたんだ?」
清香はあっけにとられて十夜の背中を見つめる。




詩苑はゆっくりと加奈に近づいてくる。

なに?

高月くん、なにかとても哀しい表情。

「渡瀬さんは、永遠の愛って信じる?」

「え?」

「僕は信じない」

詩苑の哀しみの表情が突然、強い憎しみの表情に変わる。

「高月くん、あなたまさか・・・」


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