月夜の天使
ミズキ、ほんとうにあなたがカインなの・・・?

いつも優しい笑顔をカナンに向けてくれたミズキ。

それなのに、こんな苦しみを背負ってたなんて。

カナンは無意識にあの絵へと向かう。

ミズキの思い出と笑顔をかみ締めながら。

コツン・・・。

『カナン』。

その絵にカナンは吸い寄せられる。

ミズキはカナンのこと、こんな風に見ててくれたのね・・・。

コツーン・・・!!

静寂の館内に響く靴音。

その足音はカナンの後ろで立ち止まる。

振り向くと、ただ一人、その人だけが、
静寂の館内に立っていた。

「・・・ミ・・ズキ・・」

4年ぶりでも間違えるはずがない。

愛しくて愛しくて待ち焦がれた人!!

「カ・・ナン・・」

ミズキの瞳には驚きと、哀しみと、懐かしさ。

それから・・・。

「・・・っ」

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