月夜の天使
ミズキは左手でその顔を覆い隠し、目を伏せる。

ミズキ・・・泣いてる?

「ミズキ・・ミズキ・・」

カナンは愛しい人の名をただ呼ぶ。

「ミズキ!!」

ミズキの胸に飛び込むカナン。

見上げるとカナンを見つめながら涙を流すミズキの美しい瞳。

その涙にカナンは吸い寄せられる。

「ミズキ・・・」

カナンは瞳を閉じ、ミズキにそっと顔を近づける。

ミズキもまた大切な宝石に触れるかのように、
そっと、そっとカナンを引き寄せる。

二人は無言のまま、唇を重ねる。

天使に見守られながら、
二人はこの瞬間、永遠の恋人となる。

『永遠のキス』

二人のキスはまるで絵のように美しく切り取られ、
『瞬間』が『永遠』のように輝きを放つ。

『月の恋人』

月が分かち、月が引き寄せた二人。

月だけが認めた恋人となり、

二人はただ、『永遠』を夢見てキスを交わし続けた・・・。

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