月夜の天使
「ね、須藤くん。どこ行くの?約束なんてしてないじゃない!」

学校からだいぶ歩いてきていた。

雨はまだ降り続いている。

須藤十夜は学校を出ると急に無口になった。

加奈に傘をさしかけながら、真っ直ぐ前を見つめたまま歩く。

「ね、私もう帰る…」

言いかけて、須藤十夜がある裏通りに入ったことに気がついた。

「着いたよ」

須藤十夜が真っ直ぐに見つめるもの。

それはあの『天使の泉』だった。

「どうして占いなんて・・・?」

加奈は意外な場所に連れられてきたことに驚き、十夜を見上げた。

「ここ俺ん家」

「え!?」

「とにかく入ってよ」

十夜はスタスタとドアまで歩くとおもむろに占いの館のドアを開けた。



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