月夜の天使
加奈は、半年前に親友の清香と一緒に、占いの館を探して歩いていた時のことを思い出していた。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「加奈も、やっぱ恋愛運とかみてもらいたい?」

清香は明るくて男子生徒も気軽に声をかけてくるような女の子だ。

そんな清香と高校の同じクラスになったのは、ちょうど1年半ほど前の高校2年の春だった。

「うーん、聞かなくてもわかるんだよね。恋愛運ほんとないから」

「なにいってんの!今まではそうでも、これからはわからないじゃない!」

そこまで言って、清香は意味深な笑みを浮かべた。

「あ~んがい!近くにいるかも、だし!」

「それはない!」

加奈は慌てて声を大きくした。

清香の言いたいことはわかる。

私の、とても近くにいる人。

―弟の、瑞樹。




清香とはクラスが一緒になって以来、志望校も同じ、帰り道も同じで性格もとてもうまが合った。

清香は何度か加奈の家にも来ていたので、加奈の家庭の事情もよく知っていた。

「私は父と弟とは血がつながってないの」

清香が妙に冷静な態度で、「やっぱりね!」とうなづいたことを思い出す。



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