月夜の天使
「やはりね」

月野いずみが開きだした月見草を手に取りじっと見つめる。

月見草はぐんぐんと開き、満開になった。

白くしっとりと咲く一面の月見草。

「能力に目覚め始めたわ。枯れかけていた月見草が加奈のエナジーをもらい甦った」

「やはり、気が動転すると能力が無意識に甦るのか」

十夜がつぶやいた。

「十夜、そのつもりで加奈に父親の事故の事を告げたのか。加奈を動揺させるために・・・」

瑞樹はさらに強く加奈の肩を抱きしめた。

「加奈、もういい。今日は帰ろう」

そう言って加奈を見た瑞樹の目が一瞬大きく見開かれる。

動揺し、肩を震わせる加奈。

瞳からは涙がとめどなくこぼれ落ちた。

瑞樹は加奈の瞳を見つめ、かすれるような声でつぶやく。

「カナン、久しぶりに見た。誰よりも美しい君のブルーアイ・・・」

瑞樹の声が遠くに聞こえ、加奈はまた無意識の世界に落ちていった。








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