月夜の天使
瑞樹はその夜、深夜になってやっと帰ってきた。
玄関を入ってきた物音に気づいた加奈は部屋を飛び出て瑞樹に駆け寄る。
「瑞樹!どこ行ってたの?」
「月野いずみのところだよ。ちょっと確かめたいことがあって・・・。話は十夜から聞いた。今日は助けにいけなくてごめん」
「ううん、瑞樹はちゃんと助けてくれたよ」
瑞樹、今日はなにか疲れた顔をしてる。
少し顔が蒼ざめているように見えた。
「疲れたんじゃない?今日はゆっくり休んで」
「うん、ありがとう。加奈、明日の朝は十夜が迎えに来る。」
「え?瑞樹は一緒じゃないの?」
瑞樹は少し疲れた表情で笑うと言った。
「加奈、今は十夜に護ってもらったほうがいい」
瑞樹?
どういう意味なの・・・?
瑞樹が何を考えているのか、わからなかった。
無理に笑いかける瑞樹の笑顔が、痛々しかった。
私には何でも話して。
そう言い掛けたけど、瑞樹の苦しそうな笑顔を見た加奈にはとても言いだすことはできなかった。
翌朝、瑞樹の予告どおり、十夜が家の前まで迎えにきた。
加奈は十夜を凝視したまま玄関で立ち止まる。
「加奈・・・なに、ふくれっ面してんだよ」
「だって、瑞樹は先に行っちゃうし、十夜が迎えに来るなんて、なんかたくらんでない?」
「たくらんでないよ。俺だって忙しいのに、そりゃねぇだろ。嫌なら、先行くぜ」
「あ、待って!」
なにか、二人の態度は気に食わないけど、今は護ってもらうしかないものね。
加奈は自分に言い聞かせた。
しかし・・・噂って速いものだ。
放課後には、加奈が十夜と一緒に登校したことがかなりの人数に知れ渡っていた。
「加奈、やばいんじゃない?須藤くんとつきあってるって噂がすごい広まってるよ。美織と同じ立場に追い込まれちゃうかもよ~。全校の女子の嫉妬の嵐!」
「清香のいじわる~!ただの友達なの、ほんとに!」
でも確かに、大変なことになっちゃうかも。
昨日の剣道部での騒動で、改めて十夜の女子からの人気の高さを思い知った。
・・・美織ちゃんも、噂聞いたかな?
少し、不安になった。
玄関を入ってきた物音に気づいた加奈は部屋を飛び出て瑞樹に駆け寄る。
「瑞樹!どこ行ってたの?」
「月野いずみのところだよ。ちょっと確かめたいことがあって・・・。話は十夜から聞いた。今日は助けにいけなくてごめん」
「ううん、瑞樹はちゃんと助けてくれたよ」
瑞樹、今日はなにか疲れた顔をしてる。
少し顔が蒼ざめているように見えた。
「疲れたんじゃない?今日はゆっくり休んで」
「うん、ありがとう。加奈、明日の朝は十夜が迎えに来る。」
「え?瑞樹は一緒じゃないの?」
瑞樹は少し疲れた表情で笑うと言った。
「加奈、今は十夜に護ってもらったほうがいい」
瑞樹?
どういう意味なの・・・?
瑞樹が何を考えているのか、わからなかった。
無理に笑いかける瑞樹の笑顔が、痛々しかった。
私には何でも話して。
そう言い掛けたけど、瑞樹の苦しそうな笑顔を見た加奈にはとても言いだすことはできなかった。
翌朝、瑞樹の予告どおり、十夜が家の前まで迎えにきた。
加奈は十夜を凝視したまま玄関で立ち止まる。
「加奈・・・なに、ふくれっ面してんだよ」
「だって、瑞樹は先に行っちゃうし、十夜が迎えに来るなんて、なんかたくらんでない?」
「たくらんでないよ。俺だって忙しいのに、そりゃねぇだろ。嫌なら、先行くぜ」
「あ、待って!」
なにか、二人の態度は気に食わないけど、今は護ってもらうしかないものね。
加奈は自分に言い聞かせた。
しかし・・・噂って速いものだ。
放課後には、加奈が十夜と一緒に登校したことがかなりの人数に知れ渡っていた。
「加奈、やばいんじゃない?須藤くんとつきあってるって噂がすごい広まってるよ。美織と同じ立場に追い込まれちゃうかもよ~。全校の女子の嫉妬の嵐!」
「清香のいじわる~!ただの友達なの、ほんとに!」
でも確かに、大変なことになっちゃうかも。
昨日の剣道部での騒動で、改めて十夜の女子からの人気の高さを思い知った。
・・・美織ちゃんも、噂聞いたかな?
少し、不安になった。