月夜の天使
加奈は占いの館の真ん中にある泉のオブジェをぼんやりと見つめていた。

泉の上で男の子の天使が優しい微笑みを浮かべ、泉の中をのぞいている。

「清香まだかなぁ・・・」

清香が先に占いの部屋に入ってから、３０分が経過していた。

ガチャリ、とドアの開く音がして加奈はそちらを振り向いた。

占いの部屋のドアが開き、清香が思いつめた表情で出てくる。

「清香、どうだった？」

加奈の顔を見た途端、清香は加奈の腕をつかんで興奮ぎみに話しだした。

「すごいよ！月野いずみ！私が彼氏と別れたばかりだって当てて、別れた健吾のこともいろいろ知ってるの！それで、それでね、彼は運命の人だから、半年以内に絶対もどってくるって！」

そこまで一気にまくしたてようやく落ち着いた清香は、加奈の腕を引っ張って占いの部屋に促した。


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