月夜の天使
『ある星に舞い降りてしまった月の女神

彼女は過去の記憶を全て失ってしまう。

彼女にあるのはただ、美しい歌声のみ。

彼女は夜毎、森をさまよい歌う。

誰か私を見つけて。

私の愛はどこなの?

そこで彼女は二人の天使に出会う。

二人の天使は彼女に永遠の愛を誓う。

彼女はどちらも選ぶことができない。

ある月夜、月から彼女を呼ぶ歌声が聴こえる。

月が恋しい。

彼女は月へ還ると告げる。

一人の天使は、この恋が永遠に叶わなくても私は月を永遠に見上げましょうと誓う。

一人の天使は、私が天へ昇り、あなた方の永遠の愛を見守りましょうと告げる。

彼女は二人に別れを告げる。

月へ還り、ただ愛しい人の夢を見るのだ、と。

ただ月の光に包まれ、永遠の夢を見るのだ、と。』


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