月夜の天使
演劇部の部室がシーンと静まり返る。

凛音は加奈、瑞樹、十夜に、『月夜の天使』の台本を読んで聞かせていた。

なんて切ない恋物語なんだろう。

加奈は胸がきゅんとなって思わずため息をついた。

「加奈さん、気に入ってくれたかしら?」

凛音が部室の沈黙をやぶって加奈に声をかけた。

「ええ、こんなの久世さんが演じたらみんな号泣しちゃうよ」

「ありがとう。この台本は私の作品なの。だから思い入れが深くて」

凛音の自信ありげな瞳に加奈は吸い込まれていた。

すごい・・・!

台本まで書いちゃうなんて、ほんとになんて人なんだろう。


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