月夜の天使
「それで、いったい私たち３人に用って？」

凛音は真剣な眼差しで３人をそれぞれ交互に見つめた。

「天使役の二人をそれぞれ瑞樹くんと須藤くんに演じてもらいたいの」

十夜が参ったという表情で加奈を見つめる。

瑞樹は表情を変えず、ただ凛音を見つめる。

「そして、加奈さん。あなたにはただ二人を見守ってもらいたいの」

・・・え？

「見守るって？」

「部室に来て二人の演技を見ているだけよ」

「あの・・・それってなんの意味が？」

「私の見たところ、二人の演技を最大限に引き出せるのは、加奈さん、あなたしかいないと思うけど？」

凛音が意味ありげな笑みを浮かべた。

加奈は意味がわからないというように、首をかしげた。

「冗談じゃねーよ。久世の良い様にされてたまるか！行くぜ、加奈、瑞樹」

十夜が椅子から立ち上がり、帰ろうとする。

「待って、須藤くん。加奈さんにあのコト言ってもいいのかしら？」

十夜が立ち止まり、振り返る。

その表情が少し凍りついたように見えた。

あのコト？

「久世、おまえ・・」

十夜が凛音をにらみつけた。

「瑞樹くんも、言われたくないコトあるわよね？」

瑞樹の瞳が一瞬鋭く光る。

なに？

３人の間になにがあるの！？

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