月夜の天使
加奈は裏庭にある部室を出て、校門の外にある自販機を目指し歩き始めた。

もうすっかり外は闇になっていた。

「月が見える・・・」

三日月。

月は二つの顔をもっている。

光に照らされた、明るい表の顔。

闇に支配された、暗く陰鬱な裏の顔。

加奈は生まれ故郷の月を愛おしむように、月を見上げた。

「月が恋しい・・・か」

ギャー!!ギャー!!

!?

バサバサバサ!!

「キャッ!!」

突如、黒い影が加奈に襲い掛かってきた。

それは黒の大群。

鋭い爪と、大きな羽。

気づくと、加奈は黒の大群に取り囲まれていた。

「鳥!?」

青の目が加奈を真っ直ぐに凝視する。

これは・・・カラスだ!!

青の目のカラス!!

「やだ!!」

・・・・!?

なにかが加奈の体を包む。

なに?体が温かい。

光、とても強い光を感じる。

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