Summer memory

「じゃあな、ちせ」

ちら、と私を見るちひろ

「おぅ、じゃあな」

お茶を飲みながら、ひらひらと適当に手を振ると

「…お前、言い方が男らしいわ。次会うときには変わってるといいけど。」

なんて、軽い皮肉で返される
…多分変わってるよ
他人みたいにね。なんて思ったけど、口には出さない。

「早くいけ馬鹿兄貴。」

「はいはい。わかりましたよクソガキ。じゃあね、お婆ちゃん。また来る。」

「えぇ、いつでもおいで」


居間から玄関へと、去っていく足音を聞いてちらりと振り向けば、そこには誰もいなくて
不思議とむず痒い気分に苛まれる


なんだこれは。


< 17 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop