Summer memory

「私、それ使う。親父の…」

私の言葉にお婆ちゃんは表情を明るくした

「…形見にする。」

「そうかい。そりゃあの子も喜ぶよ…。」

その帽子を深くかぶると
少しだけ、ほんの少しだけ、親父の匂いがしたようで
なんだか、懐かしくなった

「さぁ、行こうかちせ。」

「あ、うん。」

はいている黒いプリーツスカートを翻し、家をあとにした。


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