Summer memory
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「沢山とれたね。」
「そうだねぇ。」
私とお婆ちゃんは
手に持っている籠にたくさん野菜を積んで畑を出た
「痛ッ…」
たくさんとれたことに満足し、手元の野菜を見つめていたとき
肩に何かがぶつかった
「もー何…。」
ジジッ…
足下で、聞き覚えのあるような、ないような。
そんな音が聞こえた
「…あ。」
音の正体は、弱った蝉。
ひっくり返って、足をばたつかせていた
「…もう死ぬのかな。こいつ」
私はその場にしゃがんで、蝉をひっくり返した
その蝉はもう弱りきっているのか
飛ぶこともかなわず、もがくこともなく、しばらく見守っていると動かなくなってしまった。
「…ねぇ、お婆ちゃん。
蝉って可哀相だよね。一週間しか生きられないなんて」
「そうだねぇ…」
「―そんなことないよ。
蝉は、土の中で、何年も生きてるんだから」
背後から砂利をふむ音と
聞いたことの無い声