Summer memory
声の方を振り返ると、そこには
私と同い年くらいの、茶髪の男の子が立っていた
「…詳しいね、好きなの?」
そのやさしそうな風貌に
馴々しくも話し掛けてしまった
「ううん、大嫌い。だってうるさいだろ?」
そのままの優しい顔で、そう吐き捨てる。
「嫌いなのに、詳しいの?」
「んー…嫌いだけど、嬉しくなるんだ蝉の声を聞くと。」
そう言って私に笑いかける
「変なの。」
つられて私も笑って返した
「こんにちは、谷原さん。」
「えぇ、こんにちは駛君。」
はや…くん?
「お婆ちゃん知り合いなの?」
予想外にも、親しそうに挨拶を交わす二人に驚いた。
「えぇ、駛君って言って昔から親しくさせてもらってる、近所のお孫さんよ。歳は…」
「君と…同じ。」