Summer memory

声の方を振り返ると、そこには
私と同い年くらいの、茶髪の男の子が立っていた

「…詳しいね、好きなの?」
そのやさしそうな風貌に
馴々しくも話し掛けてしまった

「ううん、大嫌い。だってうるさいだろ?」

そのままの優しい顔で、そう吐き捨てる。

「嫌いなのに、詳しいの?」

「んー…嫌いだけど、嬉しくなるんだ蝉の声を聞くと。」

そう言って私に笑いかける
「変なの。」

つられて私も笑って返した

「こんにちは、谷原さん。」

「えぇ、こんにちは駛君。」
はや…くん?

「お婆ちゃん知り合いなの?」

予想外にも、親しそうに挨拶を交わす二人に驚いた。

「えぇ、駛君って言って昔から親しくさせてもらってる、近所のお孫さんよ。歳は…」


「君と…同じ。」


< 22 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop