Summer memory
「なんで…」
知ってるの?そう問う前に彼が言葉を続ける
「谷原ちせさん。君のことなら、知ってる」
す、とたぶん挨拶が目的で手を差し出してきたので
その手を取りついでに立ち上がる
「この夏はずっとこっちにいるんでしょ?だから、よろしくね、ちせさん。」
「うん。よろしくね駛君。」
…駛君か…。
なんだか不思議なひと。
「あ、そうだ駛君。今日うちでご飯食べていかないかい?ちせの挨拶がてら、ね?」
予期せぬお婆ちゃんの提案に動揺する。だって私、無愛想だし、そんなかしこまった挨拶とか苦手なんだよね
お願い駛君断って!
という願いも虚しく
答えは案の定
「喜んで」というものだった