Summer memory
「…夏休みに入る1週間前に親父が死んだんだ。」
「えぇ!?そうだったんだ…」
「うん、そう。それからは…母さんと兄ちゃんは生活のために仕事ばっかりで、夏休みも仕事が忙しいから、私はこっちに預けられてるんだ」
駛君は何も言わなくて
少しだけ沈黙ができた。
かと思えば、控えめに、窺うように、
「…ちせさんは寂しい?」
と、聞いてきた
「…寂しくはないよ。こっちは好きだし、お婆ちゃんも好きだし…逆に、あっちにいると、ずっとイライラしてて…ここにいるほうが、何も考えないでいいから楽。」