俺達にはオーナーがいる

昨晩、何かあったのだろう。

いつも、唯さん、唯さん
言っている冴が、俺のところに来る位だから。

ふと唯さんを見ると
呆れ顔でこっちを見ていた。

思わず苦笑してしまう。


唯さんにくっつく立も
冴を見て少し切なそうな顔をしていた。


「さぁ、食事にしよう。」


冴にナイフとフォークを持たせ
席につかせる。


何もない朝は無い。


オーナーは一人で
俺たちはそれぞれ
オーナーに必要とされたいのだから。


自分だけ特別にもなりたいし、
嫉妬もするんだ。


これだけ
あからさまな態度を取る冴には
本当に感謝するよ。


嫉妬の気持ちすら消されて
彩の様になる心配も、
俺一人でなるわけじゃ無いと感じさせてくれるから。


「お子ちゃま冴。」


俺がそう言って笑うと
唯さんもクスッと笑って


「冴、お子ちゃま！！」


と、冴の顔を覗き込んで意地悪く言う。

パッと顔を上げて、冴は複雑そうな顔をしていた。


「不細工な顔してるよ！お・子・ちゃ・ま！！」


立の意地悪から、やっぱり始まる喧嘩。
唯さんと目が合い
『止めろよ？』
とアイコンタクトを送られたのは言うまでもない。