俺達にはオーナーがいる
数時間、泣き止んでから時間が経っていた。

ただボーッと床に座ったまま過ごしていたらしく、


トントン
「夕食の時間だよ。」


連くんの声がドアの向こうから聞こえて来た。


「はい。」


やっと出した声は案外普通に響いていたコトに安心する。

鏡で一応顔を確認すると、
特に変わった様子も無かった。


「目くらい少し腫れてた方が可愛げあったかも。」


そんな
独り言を口にしていた。


ダイニングに行くと、唯さんの姿は無く、
立くんの荒れた服と顔のあざが気になった。


「どうしたの?」

「唯さん起こしに言ったんだよね!」

「今日は一段と酷くて、この有様。しかも今日はいらないって結局また寝ちゃったし。俺、ただのやられ損!!」

「そんな時もあるよ」


連くんは笑っていたけど、
赤紫色に腫れ上がってる顔はとてもじゃ無いけど見れたものでは無い。


「さすがの冴でも、今日は無理だっただろうね。」


そう笑って見せてくれた立だが、

「いててて…」

と、笑ったらいたかったのか、来れた口元を押さえた。

失礼だけど、笑ってしまった。





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