俺達にはオーナーがいる
まるで心配する恋人の様に抱きついてくる立を拒む事もなく、冴もじっとしている。

他人なのに、身内よりも仲が良くて…心配もしてくれる、そんな存在が心地いい。

他人から見れば、この行為も十分に可笑しいのかもしれない。
でも、今の2人には必要な時間。

愛情確認と言うか、
存在確認?!


「立くん…。」

「…もう、勝手に居なくなんな!!」

「うん…。」

「悩みなら相談乗るし、もう少し頼れ!!いつもうざいくらい絡んでくるのに!!」


立の言葉にいつもの調子で言い返す冴


「それヒドイ!!」

「本当の事だろ?!」

「違うもん!!それは立くんの方だもん!!」


抗議する冴が暴れ出すので、手首を掴み押さえる立。
さすがに男女の力の差は歴然としていて、冴は直ぐに取り押さえられた。


「じっとしてろ。」

「…うん。」


シュンとする冴をもう一度後ろから抱きしめて…


『俺のそばにいろ。』
そう立は思った。自分の感情に気が付いた瞬間だった。

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