俺達にはオーナーがいる
唯がそのまま部屋を出て行くので、立は唯を追った。
気付かれてる…。
冴の事を…冴に恋愛感情を持ってる事を…。
「唯さん!!」
スタスタ先を歩く唯の後ろにくっつき、一定の距離を保っている。
手を伸ばして…届くか届かないかの微妙なライン。
冴への怒りは、無断外泊。
それだけなのに。
立を見ると余計に苛立つ。
唯が持ち合わせていない感情が、そこにある事が気に入らないのだ。
「唯さん…ヤ!!」
ものすごい勢いで部屋から出て来た冴は、立を見向きもせずに唯に抱きついた。
よろけながらも冴を抱えた唯を見て、立は苦笑した。
結局、俺がいくら心配した所で、唯さんと冴の絆は2人が作るもので、俺の出る幕はないんだ。
冴は唯さんが好き
知ってたじゃん!!
立は、
そう思えば思うほど、胸が苦しくなった。