俺達にはオーナーがいる
その声は冴の耳元で小さく響いた。
冴の目を覆っているのは連の手で
冴の耳元で響いた声も連だった。
連はただ見つめる事しか出来ない冴の
泣き出しそうな顔に気付いていた。
「…っ連くん…。」
「我慢しろ。」
声を震わせる冴に
ため息交じりに言う。
1番唯からの愛を感られないのは
紛れもなく冴。
1番唯から愛されていないのも
紛れもなく冴。
そして、
唯に何も求められていないのが冴。
それが冴の存在。
ただ居るだけ。
それが冴の存在意義。
そして、それに薄々気がついている
連と立。
連が冴に目隠ししているのを見た立が
「冴…?」
と、2人の様子がおかしい事に気がつく。
「なに、ラブシーン?」
立の影から連と冴の姿を見て晴人が言うのと同時に、立は冴の駆け寄る。
晴人はその行動を目で追った。