俺達にはオーナーがいる


その声は冴の耳元で小さく響いた。


冴の目を覆っているのは連の手で
冴の耳元で響いた声も連だった。


連はただ見つめる事しか出来ない冴の
泣き出しそうな顔に気付いていた。


「…っ連くん…。」

「我慢しろ。」


声を震わせる冴に
ため息交じりに言う。


1番唯からの愛を感られないのは
紛れもなく冴。

1番唯から愛されていないのも
紛れもなく冴。

そして、
唯に何も求められていないのが冴。

それが冴の存在。

ただ居るだけ。

それが冴の存在意義。


そして、それに薄々気がついている
連と立。


連が冴に目隠ししているのを見た立が


「冴…?」


と、2人の様子がおかしい事に気がつく。


「なに、ラブシーン?」


立の影から連と冴の姿を見て晴人が言うのと同時に、立は冴の駆け寄る。

晴人はその行動を目で追った。

< 77 / 158 >

この作品をシェア

pagetop