俺達にはオーナーがいる

連から渡された雑巾をギュッと強く握りしめた冴は、何も言わずにうつむいていた。

連は唯が冴をあしらう様に扱っていることに可哀想と同情してしまうくらいだった。それで思わず引き止めてしまった。


「唯さん!!」

「…何?」


ゲストルームに向かう足を止めた唯に


「唯さんまだ?」


追い討ちをかける様に
晴人の後ろから彩が顔を出した。


「今行く。」


唯はそう言って2人のいる部屋に足を向けると、もう一度連が声を出した。


「今日くらい…」

「何?」


ふと、隣を見ると冴が悲しそうな顔で見上げるものだから、連の声が途絶えてしまう。


「なに!」


声のトーンで唯の機嫌の悪さが伝わってくる。


「いえ…何でも無いです。」


それしか言えない連に、唯は晴人と彩のいる部屋とは別のゲストルームのドアを開けて


「連。こい。」


と呼ぶ。その声に反応して一歩足を踏み出すと、冴が連の腕にしがみついた。


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