俺達にはオーナーがいる
後ろ髪を引かれる思いでその場を後にする立。
「何やってんだよ。」
冴頭を叩く。
「…ふん…ん…。」
起きる気配ゼロ。
これじゃ俺がきても体を動かせない訳か。
唯は立が動かなかった訳を理解した。
「冴。起きろ。」
「…唯…さぁん…」
寝言で唯の名前を呼ぶ。
フッと吹き出して笑ってしまった唯。
「俺の夢みてんの?」
「唯さん…」
ぴょこぴょこと冴が手を動かす。
「寝てまで俺を探すのか?」
唯が冴の手に手を重ねるとギュッと握り返してきた。
その姿が可愛く思えてまた笑う。
唯は冴を子供の様に扱い、そしてその純粋さに癒されている。
冴を汚されたくないし
汚したくもない。
唯はそう思い、
キスするのも抱きしめるのも
触れる事すら
極力避けていた。