群青ホームラン
「なあ、来週の試合冴木も見に来てよ。あ、勿論なっちゃんと」
汚いユニフォームから制服に着替えた俺は冴木と一緒に下校中。冴木の返事は『考えとくよ』と冷めた言い方だったけど絶対に来てくれると思う。
そういうヤツなんだ、冴木って。
「その時さ、俺自分の気持ちを長崎に言おうと思って。まあ、自信とか全然ないんだけど……」
つーかそれって告白するってことだよな?
告白ってなに?告白ってなにを言えばいいの?
あー今から緊張してきた。
「いいんじゃん?自信満々なのは竹田らしくないし」
冴木がさらっと俺の緊張を振り払う一言を言った。
そうだよな。自信がないのが俺であって、それも長崎は分かってると思う。
だから俺の言葉で、俺のやり方で長崎に気持ちを伝えよう。
そして試合の前日、早めに部活が終わり俺は一人でグラウンドに残っていた。
明日は何度も甲子園に行ってるほど強い学校との練習試合。
たかが練習試合だけど、うちの学校にとっても俺にとっても大きな試合だ。俺は日が暮れるまで何百、何千とバットを振り続けていた。