群青ホームラン



「貰ってないよ」

俺がシンプルに答えると青木は表情を変え「分かってる。冗談だよ」と笑った。


青木が冗談でもこんなことを言うのは珍しい。


――『でもさ、なっちゃん焼きもちとか妬かないの?』

ふと竹田が言っていた言葉を思い出した。


焼きもち……?いや、青木はそんなタイプじゃないしな……とその時、スマホのバイブ音が部屋に響き渡った。

とっさにポケットを確認したけど俺のスマホじゃない。


「あ、ごめん。私だ」

カバンからスマホを確認した青木はチラッと俺の顔を見た。


「学校の友達。出ても大丈夫?」

俺がコクリと頷くと、青木は電話に出た。


『もしもし?……うん。大丈夫だけどどうしたの?』

盗み聞きするつもりはないけど、隣で話してるから嫌でも会話は聞こえてくる。


『あー文化祭のね。買い出しなら私たちでやるけど』

俺はその間クッキーを食べながらテレビを見ていた。


『……え?恵美の彼氏も?いいけど……。うん、あ、友達も来るんだ。私は別に大丈夫だけど』

ピクッと何故か反応してしまった。

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