群青ホームラン



聞き間違いかな?なんて思ったけど、そうじゃないらしい。宮野は冷静に時計を見て電車が来るまでの時間を確認してる。


「……当然ってなんで?」

俺、青木を怒らせるようなことしたかな。全然思い当たらないんだけど。


「だって冴木くんが文化祭に来たら目立つじゃない」

目立つ。それはもちろん派手だからとかではなく俺のことを知ってる人が多いって意味だと思う。

確かに俺が行ったらジロジロと見られると思うし、青木にだってその目は向けられるかもしれない。


「えっと、なんか勘違いしてるかもしれないけど、目立つって冴木くんが思ってるのとは違うよ?」

「………?」

宮野にはなんでもお見通しらしく、青木の気持ちを代弁するように言った。


「夏月の学校は女子校だよ?冴木くんが行ったらみんなが見るでしょ。だから嫌なんだよ」

まだ完全に理解できてない俺に宮野は決定的なひと言を言う。


「夏月だって焼きもちぐらい妬くってことだよ。彼氏ならそれぐらい分かってあげなきゃ」

〝焼きもち〟それを聞いて自分のモヤモヤの原因がやっと分かった。

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