群青ホームラン



絶対ムリ、ありえない。そんなの聞いてないしミスコンとか面倒なものに俺を巻き込まないでほしい。


「竹田、俺……」

『文化祭サボるから』そう言おうとした時、俺のスマホが鳴った。


『もしもし?』

話の流れで不機嫌に出ると、電話の向こう側でか細い声がした。


『あ……冴木くん?今大丈夫?』

慌てて着信画面を確認すると電話は青木からだった。


『え、あーうん。大丈夫』

気持ちを落ち着かせ電話に対応した。


『……冴木くん怒ってる?』

小さな声で聞いてくる青木は少しだけ不安そうだ。


『いや、大丈夫だよ。こっちのことだから』

すると青木は『そうじゃなくて』と言葉の続きを言った。


『この前のこと。私が男の子と買い出し行ったり、文化祭来たらダメって言ったこと』

そういえばあれからお互い忙しくてちゃんと話せてなかった。あの時不機嫌に帰っちゃったから、青木はずっと気にしていたのかもしれない。


『怒ってないよ。ごめんな。あ、それとさ……』

『……ん?』

『明日の文化祭来て。同じ日だから大変かもしれないけど』


もう俺の頭の中にミスコンという言葉はなかった。だって電話の向こうで青木が嬉しそうに笑う姿が目に浮かんだから。


『うん!行く、絶対行く』
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