キミを想う。
第1章
「緊張」
開いた窓から涼しい風が吹き、カーテンが揺れる教室。
教壇に立つ先生と机に着席する生徒たち。
「笹原」
「はい」
「笹原?いないのか?」
「先生、見えないんすかー?」
ケラケラ〜と笑いながら話す男子に、先生は「いるのか?」と確認するように座席を見渡した。
「もっと大きい声出せぇ」
「…はい」
そう答える私の声も恐らく届いてないんだろうな。
先生は気にする様子もなく出欠を取り直し始めた。
昔から大きい声を出すのが苦手で、人前に立つと余計に緊張して話せなくなる。
気付けばクラスからは、「声、聞いたことない」「話せないの?」等と言われるようになっていた。
私だって皆みたいに堂々と話したいよ。
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