キミを想う。
「ユキ?どうした?」
ユキが来るなんて珍しい…とユキくんに近付く瀬野くんに、ユキくんは「郁斗じゃない」と言って、私に視線を移した。
「あんた、これ忘れてる」
そう言って私のお弁当箱が入った手提げ鞄を渡してきた。
「あっ!本当だ!お弁当箱がない!」
パッと両手を確認するまで、今までお弁当箱の入った手提げ鞄がなかったことに全く気が付いていなかった。
「あ、ありがとう…」
恥ずかしいと思いながら手提げ鞄を受け取る。
「ぽけっとし過ぎだろ」
そう言って呆れた表情をしたユキくんは自分の教室へと戻って行った。
あー、これでまた更に呆れられる…。
ユキくんには何故か恥ずかしいところばかり見られている気がする…と溜め息を吐く。