キミを想う。
「百面相」
「ゆず、ユキと仲良いの?」
「えっ…?」
午後の授業が終わり、帰りの準備をしていると、さっきの続きを知りたいのか、瀬野くんは不思議そうに聞いてきた。
まだ、覚えてたか…!
当たり前だよね…。
「な、仲良くは…ない、かな…」
うん。
仲良くはない。
ただたまに一緒にお昼食べるだけだし、特に話すこともないし…。
「ふーん。でもさっき手提げ鞄持ってきたし、あいつから誰かに話しかけんの珍しいからさ」
そんなに信じられない光景だったのか、瀬野くんは未だ不思議そうな表情をしている。
このままだと、色々追及されそう!
「あ…えっと、今日、急いでるから、か…帰るね!」
「えっ!?お、おー」
慌てて帰る私にびっくりする瀬野くんに軽く頭を下げて、走って教室を出て下駄箱まで向かった。