キミを想う。



「はぁー…、疲れた…」


久しぶりに体育の授業以外で走った…。


上がった息を深呼吸をして整える。


不自然な対応で、本当は友達いないのバレてないといいな…。


そんなことを思いながら校門を出ると、見覚えのある女子高の制服が視界に入ってきた。



「誰?あの女の子。可愛くない?」


「声かける?」


校門を出ていく男子がチラチラとその女の子に目を向け、声をかけようかニヤニヤ笑っている。


女の子は男子たちの視線に気付いていないのか、気付かないふりをしているのか、スマホを触って下を向いている。


怖いし関わらないようにしよう…と通り過ぎようとした瞬間、顔を上げた女の子と目が合ってしまった。



「…あ」


思わず声が出てしまっていた。


その聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声に、女の子は反応してにこりと微笑み、「待ってたよー」と笑って腕に抱き付いてきた。


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