キミを想う。
「せ、せ瀬野…くん」
あんな盛り上がる集団の背中に、私の小さな声なんて届くはずもない。
スタスタ歩いていく集団をどうすることもなく見送る。
定期ぐらい渡せないなんて情けなさ過ぎる…。
自分が嫌で泣きそうになってくる。
「呼んだ?」
俯いていた顔を上げると、目の前には私を見下ろす瀬野くんが立っていた。
「………っ!」
カァーッと顔が熱くなる。
私のあんな小さな声、届いたんだ。
「どうした?」
緊張で固まった私の顔を不思議そうに覗いて来る。
「…あ、あの」
「ん?」
目を合わせられなくて俯いて話すと、私の声を聞き取るように顔を近付けてきた。
ダメだ、緊張しちゃう!