キミを想う。
「……落ち着いた?」
「…はい」
電車に揺られ、隣に座るユキくんは相変わらず無表情で、でも何も聞かずに私が落ち着くのを待ってくれていた。
泣いて赤くなっているであろう目を隠すようにハンカチを当てる。
「……いきなり、ごめんなさい」
急に泣かれて困らせてしまっただろう…と、ユキくんの前で泣いてしまったことが恥ずかしくなる。
「…べつに」
一番端の席に座るユキくんはそう言って、手摺に肘をついて、私のいる席とは反対の方向に視線を向けた。
ずっと何も言わずにいてくれている。
無口で何考えてるか分かんないけど、ユキくんって意外と優しいのかな…。
そんなことを考えながらユキくんの横顔を見つめる。