キミを想う。
「あ、あの、今日は色々とありがとうございました」
「…べつに何もしてないし」
駅の改札口でユキくんに改めてお礼を言う。
家まで送ると言ってくれたが、それは流石にダメだと断った。
「…あ、あの」
「なに?」
「えっと…」
じっと見つめてくるユキくんに心臓がバクバク激しくなっていく。
ユキくんは何で泣いていたのか最後まで聞かずに傍にいてくれた。
初めて笑った顔を見た。
意外と無邪気な表情をして、意外とお喋りして、意外と優しいことを知った。
だから…。
「あの…、えっと…ユ、ユキくんと、と…友達になりたいです」
カァーっと顔に熱が帯びる。
恐らく耳まで真っ赤だろう。
緊張からか変な汗をかいている手を強く握り締める。
ユキくんは何も言わずに私を見下ろしている。