キミを想う。
バッ!と持っていた定期を瀬野くんに突き出す。
「定期?あ、俺の?落としたの拾ってくれたんだ?」
コクンと頷くと、「サンキュー」と受け取った。
「そ、それだけだから…」
急いでこの場から逃げ出したくて教室に引き返そうとすると、瀬野くんに腕を掴まれた。
「!?」
な、何!?
「やべぇ〜…」
びっくりして固まる私に瀬野くんは嬉しそうに口を開いた。
「やっぱりお前の声、めっちゃ可愛い」
………は?
「ノブ、俺、合コン行かねぇ!」
「はぁ!?いきなり何言ってんだよ!」
本当、いきなり何言ってんのか…。
「お前らだけで頑張って来い!」
「あ、おい!待てよ!」
ア然とする友達を置いて、瀬野くんは私の手を引いて屋上へと向かった。