キミを想う。
「どうした?」
「勉強教えて」
「はっ?無理だし。タケに聞けよ」
「お前バカか。タケはバカだろ」
教科書を片手に何冊か持って、三和くんは瀬野くんの席へとやって来た。
恐らく、来週ある期末テストで解らないところがあるのだろう。
「郁斗、成績良かっただろ?」
「良くねぇよ。ゆずの方が賢いって」
「えっ!?私?!」
急に名前を出されびっくりする。
瀬野くん、どれくらいの成績か知らないけど、見た目と違って賢いと思う。
小テストとかたまに点数がいいのは自慢してくる。
「笹原さん勉強教えて!赤点だけは避けたいんだよ!夏休み潰れるとかマジあり得ねぇ!」
三和くんの必死な姿に断ることが出来ず、「瀬野くんの方が良いよ」とは言えず、「私で良ければ…」と返事をしていた。