キミを想う。
「放課後テスト勉強するの?郁斗たちと?」
「う、うん…。なんでかそうなっちゃって…」
昼休み、久しぶりに菜々ちゃんと教室でお弁当を食べる。
非常階段で食べるのと違って凄く賑やかで、なんだか落ち着かない。
あの静けさに慣れているせいかもしれない。
今日はいつも食べてる友達が部活のミーティングがあるからと、部室でお昼を食べるらしい。
私はさすがにテスト勉強の話は黙っていられないと、菜々ちゃんに今朝のやり取りを説明する。
内心ドキドキしながら菜々ちゃんの反応を伺う。
「いいなー。私も参加しても良い?」
「もちろん!私一人なんて緊張して無理だもん!」
やった!
菜々ちゃんがいてくれたら心強い。
一人でテスト勉強に参加するのでないと思うと安心して、お昼が美味しく進む。
「ねぇ、それよりユキとどういう関係なの?」
「えっ?」
ニヤニヤと笑いを浮かべる菜々ちゃんに慌てて否定する。
「な、何もないよ!友達だよ?」
「えー?本当?駅の改札口まで送ってもらって?」
「うん。本当だよ」
本当にそれだけなのに、何故だか心臓がドキドキする。
「まぁ、ゆずがそう言うならそうなのかな」
菜々ちゃんは少し納得いかなさそうに呟いた。
「じゃあ放課後教室来るね」
お弁当を食べ終わると菜々ちゃんは、次は移動教室だからと急いで教室に戻って行った。