キミを想う。



「ゆず、これどう言う意味?」


「えっと、これは…」


フードコートの大きなテーブルで皆それぞれ教科書やノートを開き勉強をしている。


私の前に腰かけている瀬野くんは、英語の訳の質問を聞くのに凄く顔を近づけてきた。



ま、待って!


ドキドキする!


顔が近いせいか息がかかりドキドキして、勉強どころではない。


瀬野くんと話せて嬉しい気持ちが勝ってしまう。



顔が真っ赤になっているのか、体が熱くなってきた。



「あー、なるほど。ゆず賢いな」


どうにか質問に答えると、瀬野くんは「さすが!」と感心していた。



「ゆず、これ教えてー」


次は菜々ちゃんが数学の質問をしてきた時だった。



「あれ?郁斗?」


女性の声が急に聞こえ、声がした方へ顔を上げて視線を向ける。



「えっ?…加穂?びっくりした。なに?」


加穂さんの突然の登場にびっくりしながらも、瀬野くんは嬉しそうに加穂さんの方へと体を向けた。


友達と来ていたのか片手にコーヒーを持ちながら、反対の手であっちで座って待っててと、少し離れた席に指を向ける。



「あれ?昨日の子だ!えーっと…」


加穂さんは私を見つけ名前を一生懸命思い出そうとしてくれている。



「ゆず」


「あ!そうだ。ゆずちゃんだ!」


瀬野くんが私の名前を教えてると、スッキリしたような表情をした。


可愛い…。


やっぱり、加穂さん可愛い…。


ちょっとした表情が凄く可愛らしく、瀬野くんが好きになるのも分かる気がする。



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