キミを想う。
それから一時間くらいして集中が途切れてきたのか、三和くんやタケくんが「腹減ったー」と何かを買いに席を立ち出した。
「ノブ、俺も何か買ってきて」
「あ!私も行ってくるよ!ゆずの分も買ってくるね」
そう言って菜々ちゃんも慌てて三和くん達についていった。
瀬野くんに何か買ってきてあげたいのかな?
可愛いな…と思いながら菜々ちゃんの背中を見つめる。
私にはそんな行動力がないな。
菜々ちゃんみたいに、そこまで瀬野くんのこと好きじゃないのかな?
ボーっとそんなことを考えていると、「おい」とユキくんから声をかけられる。
「は、はい」
「もう大丈夫なの?」
その質問に一瞬、何のことか分からなく返事が遅れる。
「あ、うん…。昨日はご迷惑おかけしました…」
昨日泣いたことだと気付き、思い出しただけで恥ずかしくなる。
「昨日なんかあったの?」
瀬野くんが不思議そうに私とユキくんの顔を見つめる。
「あ、いや…えっと…」
瀬野くんのことで泣いてたなんて言えない。
どう答えようか悩んでいるとユキくんが「べつに…」と瀬野くんに答えた。
「郁斗には関係ない」
これ以上首を突っ込むなと言わんばかりの言い方と空気を纏っていて、さすがに瀬野くんもムッとしたみたいだ。
「なんだよその言い方」
「関係ないから関係ないって言っただけだ」
「はっ?だからって言い方ってのがあるだろ」