キミを想う。



「急にどうしたんだ?笹原さん何があったわけ?」


三和くんが席に座りジュースを飲みながら聞いてくる。



「…えっと」


さっきのやり取りを伝えると、三和くんは呆れた表情を浮かべ、ジュースを飲む手を止めた。



「しょうもな」


そう言い捨てると、荷物をまとめ、ちょうど戻ってきたタケくんに「帰んぞ」と言うと、スタスタとお店を出ていく。



「はっ?!帰んの?ちょ、待てって」


意味が分からないタケくんは慌てて荷物をまとめると、「勉強見てくれてありがと!」とお礼を言って三和くんを追いかけた。



「あれ?皆は?」


遅れて戻ってきた菜々ちゃんは誰もいなくなった状況にやっぱりびっくりしている。



「えっと…、帰っちゃった…」


私のせいかも…と申し訳なくなる。



「なんで?」


「瀬野くんとユキくんがちょっと言い合っちゃって…」


あまり菜々ちゃんには昨日のことを知られたくなくて、言い合いの内容を濁して説明する。



「えー、なにそれ。何で言い合いなんかしたの?でもユキも何か言ったりするんだね」


色々と無関心そうなのに…と菜々ちゃんは意外そうに呟いた。



皆が帰った後も私達は菜々ちゃんが買ってきてくれたカフェオレとドーナツを食べながら、キリのいいところまでテスト勉強をして帰ることにした。




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