キミを想う。



翌日、電車から降り、改札口を通り抜け、学校にドキドキしながら向かう。


昨日の瀬野くんとユキくんの喧嘩のことがあって、どんな顔をして会えばいいのか分からなかった。


空は晴れ渡っていて雲ひとつないのに、私の心はどんよりしている。


喧嘩の原因が私だから、二人に会うの気が重いな…。


はぁー…と溜め息が出てしまう。



「朝から溜め息?」


えっ!?


駅から学校に向かう同じ制服を来た学生達が沢山いても、すぐに目を引く金色の髪は、青空の下、朝から見るには眩しく見えた。



「せ、瀬野くん…!」


「おはよ。昨日はびっくりさせて悪かった」


「い、いえ…!わ、私が悪かったから…」


「ゆずが?」


「あ、えっと…はい」


「まぁ、理由はなんでもいいけど。ユキが他人に興味あるのが意外だった」


私が本当の理由を言いづらそうにしているのを察したのか、瀬野くんはしつこく聞かないでいてくれた。



「ユキもゆずが気になるのかな?」


「えっ?」


「なんかほっとけない」


そう言って瀬野くんは優しく笑った。



瀬野くん。


それはどういう意味ですか?


心臓がトクトク…と静かに鳴る。




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