キミを想う。
第4章
「終業式」
「郁斗、赤点あったか?!」
あれから10日が経ち、期末テストも無事に終わって、後は楽しい夏休みを迎えるだけとなっていた。
「なーし!ノブは?」
「俺もギリギリ赤点なかった!初めてだ!」
さっきの数学の授業で返ってきたテストが最後の返却だった。
三和くんはスゲーだろ!と威張りながら、瀬野くんの隣に座る私にテストの答案用紙を見せてくる。
「う、うん!すごいです」
パチパチと小さく拍手をする。
「39点…」
「あっ?うるせぇ」
呟くように話すユキくんにキレそうになる三和くん。
「つーか、何でユキが俺らの教室いんだよ」
「…郁斗に服返しに来た」
眠たそうな表情をしながら、借りた服が入っているのか紙袋を瀬野くんの机に置く。
「お前ら喧嘩してなかったか?」
「…うん。してた」
「ユキと喧嘩しても、喧嘩っていう喧嘩にならないよな」
「うん…」
眠たいのかあくびをしながら答えるユキくんに三和くんは呆れた顔を浮かべている。
「服…って、貸し借りするんですね」
二人が仲直りしていたことに安心する。
「あー、たまに。ユキが泊まりに来た時とか、泊まりに行った時とかにする程度だな」
そんな不思議なことか?と瀬野くんは私の質問に答えてくれる。
「ユキが眠たいのも、昨日徹夜でゲームしてたからだしな」
えっ!?
ユキくん、ゲームするんだ…。
ちょっと意外だな、とびっくりする。