キミを想う。
「よく終業式の日にまでやるな…」
若干呆れ顔のユキくんは、少し離れた椅子に座って、ペットボトルのジュースを開けた。
「あ、でも、そこの棚を整理したら帰ろうかと…」
「ふーん。とりあえずアイス食えば?」
「あ、はい」
折角の冷えたアイスが溶けちゃったらもったいない。
袋を開けてアイスを一口かじる。
冷たさが口の中いっぱいに広がり、熱かった体が少し冷やされていく。
「…美味しい」
そう呟く声にユキくんの表情が優しく微笑んでる気がした。
気のせいかな?
「ここだけ?」
気になっている棚を指差し、まだアイスを食べている私に聞いてくる。
「あ、うん!ちょっと待って下さい!」
急いで食べようとすると、「ゆっくり食べとけば?」と言って棚を整理し始めた。
「あ、あの…はい」
また椅子に座り直し黙々と片付けを手伝ってくれるユキくんの背中を見つめる。
「…瀬野くんと仲直りしたんですね」
「えっ?あー…うん」
「私のせいでごめんなさい」
今更だけど、謝らずにはいられなかった。
「別に…。あんたは悪くない。それに郁斗と喧嘩しても長引かないから」
だから気にしなくてもいい…とユキくんは言った。