キミを想う。
「今日はありがとうございました」
「別に…」
駅のホームで電車を待つ。
夕方でも風は生温く肌がべたつく。
「あ、あの…いつもお手伝いありがとうございます」
「別に…。あんた一人だと一生片付けが終わらないと思うから、勝手にやってるだけだし」
一生って…!
そこまでのんびり屋じゃないし!
素っ気なく話すユキくんだけど、たまに資料室の片付けを何も言わないのに手伝ってくれる。
無愛想で他人に興味がないように見えて、本当は不器用で優しい人なんじゃないかと思う。
[まもなく一番ホームに…]と電車の到着のアナウンスが流れる。
「あ、もうすぐ電車来るね」
「…花火大会」
「えっ?」
ゴォーと大きな音をたてながらホームに電車が到着する。
「一緒に行こう」
「あ、はい!一緒に行きましょう!菜々ちゃんにユキくんも一緒に行くって伝えときます」
そう言って到着した電車に乗り込む。
ユキくんも一緒に行けるなら良かった…と隣にいるユキくんの方を向く。