キミを想う。



花火大会当日、菜々ちゃんの家で浴衣の着付けをしてもらい、待ち合わせ場所に向かう。



「人多いねー。郁斗たち見つけられるかな?」


カランコロンと下駄を鳴らしながら、祭りに行く人混みの中をはぐれないように歩く。


朝の天気予報では夕方から雨だと言われていたが、すごく晴天で雨が降る様子はない。



「あ!いた!郁斗!」


神社の鳥居付近で三和くんたちといる瀬野くんを発見した菜々ちゃんは、嬉しそうに小走りで駆け寄っていった。



「おー!浴衣じゃん」


「そうだよ。ゆずと色違いなの」


「へぇー似合ってる」


そう言って笑う瀬野くんに、菜々ちゃんは照れているのを隠すように「当たり前じゃん」と返していた。



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