キミを想う。
「ゆず、なに買う?」
「菜々ちゃんは?」
「たこ焼きとりんご飴食べたい。たこ焼き半分こしない?」
「いいよ。じゃあ私、りんご飴買ってくるね」
「オッケー!あ、タケ待って!私もたこ焼き一緒に買いに行く」
「早くしろよ!」
「浴衣だから歩きにくいの!」
相変わらずの二人のやり取りに苦笑しながら、瀬野くんと加穂さんの方へと視線を向ける。
三和くんは既に買いに行っているのか姿が見えない。
「かき氷、イチゴでいいの?」
「うん。ありがとう」
「ゆずは何買うの?」
「えっ、あ…りんご飴を」
「りんご飴の店、かき氷の近くにあったし、一緒に買いに行こう」
「えっ?!あ、はい」
「ごめんね。足が痛くて」
慣れない下駄の鼻緒で指が擦れたのか、加穂さんは申し訳ない様子で集合場所のベンチに腰かけた。